第80章

山田澪は携帯電話を握りしめ、首を横に振った。

「こんなに血が出てるのに、病院に行かないなんてダメでしょう?」

山田澪は手話で伝えた。生理だから、痛み止めを飲めば大丈夫。

出血量はそれほど多くないように見えたが、福江お婆さんは半信半疑で、山田澪を支えて立ち上がらせ、寝室まで連れて行った。

痛み止めと生理用ナプキンを持ってきて、さらに台所で黒糖生姜湯を一杯煮た。

山田澪は黒糖生姜湯を両手で包むように持ち、手のひらから広がる温かさを感じながら、少し顔色が良くなった。

福江お婆さんは彼女を見つめ、言いよどんでいた。

山田澪が飲み終えると、お椀を受け取り、ようやく尋ねた。「澪ちゃんと若旦...

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